このレビューはネタバレを含みます
東京物語だけど東京だけが舞台じゃなくてよかった。
親子の距離が離れてしまったのは子が経済的に余裕がなかったからか、それとも大人になるにつれてあったかい心を無くしてしまったからなのか。親子の関係は時代に関係なくあったかかったり冷たかったりするものなのか。
戦後の近代化、農村から都市への移動に伴って資本主義的生活に染まっていく人たちとそうでない人の対比を示しているのか?
紀子さんみたいな人を「古き良き日本」を体現した女性として賛美するのは好ましくない。ただ、あのような欲のない真の相手への思いやりというものは、誰でも持っていることは大切だと思う。
お義母さんも、言いたいことを一つも言わず亡くなっていったんじゃないか?彼女に自己なんてあったのか?なんて考えてしまう。
自己はそもそも必要なのか?を考え始めるとキリはないけど。
戦争を経験した人たちは、辛いことも全部我慢して、目の前のことに感謝するしかなかったんだろうな。それを実践していたことが偉いよな。
今の社会では「自分を大切にしよう」とか「辛かったら辛いと言おう」という風潮があって、それが受け入れられる環境もでてきたことは、ありがたいことだなと思う。