真魚八重子

まひるのほしの真魚八重子のレビュー・感想・評価

まひるのほし(1999年製作の映画)
3.2
監督が知的障がい者の人々のどの面を切り取るか、という時点でドキュメンタリーはすでに始まっていて、佐藤真は『花子』しかり、アールブリュット的な活動にとても興味を持っている。
個人的には、陶器を作っているおじさんが、縄文式土器みたいな形で、装飾をつけるときに粘土にヌーッと棒を突き刺す動作が、エロティックだなと思った。

誰にとっても強烈なのはシゲちゃんで、「ビキニ水着!ワンピース水着!スクール水着!肩あり水着!肩なし水着!」と、段ボールか何かに書いて、それを読み上げながら登場。
女性に対する関心でいっぱいで、カメラを回していない時だったのか、職員の女性をつねりあげて痛い思いをさせたりもしたらしい。それも性衝動の一種だろう。映画はその後の、「どうしてつねったりしたの?」という問答から始まるが、そういった暴力衝動が出そうな感情の動きを、施設では緊張と言っていた。
色々症状の出方はあるのに、申し訳ないけれど、シゲちゃんの親御さんは可哀想だと感じてしまった。我が子がずっと大声で女性に声をかけ続けていては、外出がつらいだろう。撮影の途中でお母様が病気で亡くなられたことは、シゲちゃんもなんとなく理解しているらしい。
シゲちゃんの作品は言葉を部屋全体に貼り巡らしてあった。最近、どこかで室内全体に経典が細かく書かれた建物が発見された、というニュースを観た気がするのに、詳細が思い出せない。きっと同じタイプの隙間恐怖症的なものだと思う。
真魚八重子

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