みおこし

裸足のイサドラのみおこしのレビュー・感想・評価

裸足のイサドラ(1968年製作の映画)
3.5
モダンダンスの祖として知られるイサドラ・ダンカンの伝記映画。本人にそっくりなイギリスの名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴが大熱演、オスカーにもノミネートされました。

サンフランシスコに生まれたイサドラは、幼い頃からダンスに自分の人生を捧げることを誓い、ダンサーとしての仕事を重ねていたが、既成の身体表現に限界と違和感を覚えたことから、古代ギリシャの芸術からヒントを得た独創的なダンスを踊り始め...。

いやー、本当に文字通り波乱の人生を"駆け抜けた"人物だなと。イサドラが我が道を衝動的に生きていくその姿は、たくましく芯の通った女性そのもの。自分の限界を定めず、常に時代に先駆けたアーティストであろうと目指し、モダンダンスという斬新かつ崇高な表現を生み出した華々しい偉業は今もなお語られ続けています。その活動範囲もアメリカにとどまらず、ヨーロッパやソ連(しかも革命前夜...!)など、フィールドを大きく変えていく行動力もまた凄まじい...!!「私は美しいの」とはっきり言い放つくらいには自信に溢れているのも、そんな才能や情熱あってこそなので納得です。一方で、とっても悲しい私生活もありつつ。
感性のままに踊り続けるのと同様、感性のままに恋をするイサドラ。作中には3名の運命の男性が登場するのですが、それぞれと情熱的に恋愛をし、得るものもあれば失うものもあり、次第にイサドラの心にも変化が...。時代もまさに激動の最中、どんな苦難に苛まれようとも踊ることはひたすらやめなかったその姿に、現代の我々でも感化される部分が多くありました。
とはいえ、あまりに我が道を行きすぎて、時に周りの反発を食らうこともあったようなのですが、確かに激しい性格すぎて視聴者でさえもハラハラ...。天才は時に常人には理解できない発想や行動をするものですが、イサドラもその典型のような描き方をされていました。
ラストはあまりの衝撃にしばらく呆然。この壮絶な最期は本当のことだったと思うとますます言葉を失います...。

ヌードもあるし、何より舞踏シーンも吹き替えなしで挑んだヴァネッサの体当たり演技はとにかく圧巻。イサドラ・ダンカンが実際に踊る映像はほとんどアーカイヴされていないそうなので、撮影当時どんな風に役作りしたんだろうととにかく不思議...。改めて俳優さんって本当にすごいですね。
ヴァネッサも良かったけれど、名優ジェイソン・ロバーズが2人目の恋人を演じていて、これまた良い味を出していました。
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