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活きるのmaninthepantiesのレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
4.5
良映画。90年代の作品。
文化大革命を背景にした映画だが、政治的な要素は特になく、ごうごうと移り変わる時代のうねりに翻弄される家族にフォーカスを当てたヒューマンドラマ。

良い映画の一つに、その時代、その場所、その時の様子を細部までしっかり描けていることが挙げられると思うが、
この映画もそれにもれずに酒場や仕事風景、食卓の様子、女性の扱い、結婚式の様子など、当時の風俗や暮らし、文化が非常によく描かれていて本当にぐーっと引き込まれる。

どんなものをどんなふうに食べているのだろうか。
どんな風に笑って、
どんなふうに怒って、
どんなふうに悲しみ、
どんなふうに乗り越えるのか。
戦時中の中国は、文革真っ只中の中国らどんな様子だったのか、などなど、そう言った当時の様子を自然体で、解像度高く描いている。

血生臭い時代だったにも関わらず、徹底的に「とある家族のファミリーヒストリー」を中心に作られているから、すぐ近くで起きているはずの時代のうねりも、どこか遠い出来事のように感じられる。
そして、その彼らと彼らがいる時代との距離感は、ちょうど観客である自分と当時の時代背景との距離感に近くて、観ている人にも違和感を与えずに見れるように作っていて、これは上手いなぁと思った。

とにかく、めっちゃくちゃ良い。
政治的なアレで観れなくなるかもしれないから、観れるうちに観ておくのが良いです。

おすすめです。