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活きるのmhのレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
5.0
国共内戦から文化大革命まで切り取った中国の庶民のドラマ。
最近よくある中国の近現代史をノワールフィルム風味に塗り替えようという気風とはかけ離れた、あくまでリアルな地方描写が素晴らしい。
高等遊民が身代潰すくだりからスタート。サイコロと湯呑みをつかったギャンブルなんていうのか調べたけどわからんかった。
影絵劇の覚えもあるという厚みのある主人公。借金のかたで屋敷を取られたことが結果的オーライだったという、共産圏だけで通用するプロットもよかった。
国共内戦→三反五反運動→大躍進→文化大革命という流れで、日帝支配、反右派闘争と大飢饉はなかった。
「これからもっと世の中良くなっていくぞ」というセリフが何度か繰り返される。これはラストにもあるんだけど、ぜんぜん世の中良くなってない(むしろ世の中悪くなってきてる)のが、すごかった。中国国内では上映できなかったというのも納得でした。
「赤いコーリャン」でも思ったけど、チャン・イーモウは反体制なんだね。
孫が生まれるくだりがクライマックス。
・看護学生しか残ってない産婦人科。
・走資派とされた医者。
・三日食べてないひとに饅頭七個。
・お茶で膨らむ饅頭。
と、すごい立体的なことをやっていた。
この頃の人命の軽さみたいなのも見事に描いてる。
めちゃくちゃおもしろかったです。
mh

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