マーくんパパ

活きるのマーくんパパのレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
3.9
博打に明け暮れて富裕な親からの家屋財産全て人手に渡って妻にも愛想尽かされたダメ夫福貴(フークイ)とその一家の30年間に渡る家族史。1940年代国民党と共産党人民解放軍の内乱から中華人民共和国誕生、50年代“大躍進”の号令で粗鋼生産で国の基礎固めする国家、そして“文化大革命”の名のもと粛清の嵐吹き荒れる60年代と軌をいつにして時代に翻弄される一家をチャン・イーモウ監督が3部構成で描いた長編作。無一文になった福貴は金も貸して貰えず唯一貸してもらえた影絵芝居道具で一座を結成し巡業旅で家族を養う。この影絵芝居シーンが如何にも中国らしい情緒に満ちて素晴らしい。国民党に徴用され解放軍に捉えられるがこの影絵芝居で九死に一生を得て帰還、一度は見限った妻も2人の子を連れ戻ってきたが平穏な暮らしには程遠い貧しさや子を巻き込んだ傷ましい事件は続く…。福貴役のグオ・ヨウの人を喰ったような身振り顔つきが何とも哀感そそる。名作『あの子を探して』『初恋のきた道』に続く社会の底辺で寡黙ながら地に足をつけ懸命に生きる人々に光を当てる巨匠イーモウ誕生前夜の力作です。