垂直落下式サミング

ジェイソンX 13日の金曜日の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ジェイソンX 13日の金曜日(2001年製作の映画)
4.5
捕獲され自由を奪われたジェイソンに幾度も刑が執行されたが、彼の不死身の肉体はどうやっても殺せない。そこでコールドスリープ技術をもちいて封印してしまおうとの決定が下される。そして、戦いは宇宙へ…人気ホラーシリーズ驚天動地の第十作目。
時は流れて400年後、宇宙を拠点とする人類によって施設が掘り起こされ、彼等は冷凍ジェイソンを宇宙船のなかに持ち帰ってしまう。宇宙を舞台に史上最強の殺人鬼が目覚める!
どうやっても殺せない不死身のジェイソンを冷凍して封印しようというトンデモ計画がなぜだか理にかなっていて、そこに既得権益が絡んでくるあたりはSFモンスター映画にありがちなお約束として汲み取ることが可能。
事故によってジェイソンとともに冷凍されてしまった女性科学者は、ファイナルガールというよりは、『エイリアン』のリプリー的な戦う女。スラッシャーのキャラクターをSFモンスター映画の枠組みのなかに導入しているが、ジェイソンの荒唐無稽な強さとしぶとさは、なかなかどうしてSFと相性がいいらしく、まったく違和感がない。
400年後の世界は、セクサロイドなんかもイキイキと出てくる楽しい未来。地球の土壌汚染に伴って宇宙進出が進んでいるようだが、言うて400年程度では夢のような進歩など起こりようがなく、重要なところは手動だったりする絶妙な技術水準にも説得力がある。
服装も未来っぽくて好き。女性船員のヘソだしルックがまぶしい。特に最初の被害者となる女医はスタイル抜群。これだけで男を欲情させるので、ヌードもセックスも披露していないのに、起き上がったジェイソンに顔面を液体窒素のなかに浸けられ、凍り付いた頭部をガシャーンと潰されてしまう。串刺しになった死体がクルクル回ったり、VRゲーム中に乱入してくるなど、殺しのアイデアに出し惜しみがない。
ジャンルミックスのバカ映画と侮るなかれ、しっかりとシリーズの一作として位置付けることのできる意識高い系である。
こういう内容でも、おふざけの膝カックンに逃げず、キチンとしたものを作れてしまうアメリカ映画界の懐の広さ、恐るべし。