Omizu

ボーン・アイデンティティーのOmizuのレビュー・感想・評価

4.0
ロバート・ラドラムのベストセラー小説『暗殺者』を『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ダグ・リーマン監督が映画化した作品。記憶喪失になった人間兵器ジェイソン・ボーンをマット・デイモンが演じた。

シリーズを通して高い評価を得ているアクション映画。そこまで期待していなかったがかなり面白かった。ダイナミックなアクションと叙情性を保った演出が上手く噛み合っている。

やはりなんと言ってもマット・デイモンのハマりっぷり。デイモンは理不尽に巻き込まれる不憫な役がよく似合う。「僕は誰だ?」とアイデンティティを探し求める悲哀に満ちたこの役に非常に合っている。

相手役の『ラン・ローラ・ラン』フランカ・ポテンテは癖の強い顔で、型にはまっていないマリー役には合っている気がする。

ズシンと音がするようなリアルで迫力のあるアクションシーンは見応え十分。カーチェイスのシーンは素晴らしい。

捻った脚本もよく整理されている。脚本のトニー・ギルロイは『フィクサー』の監督。なるほど不穏で骨のあるサスペンスになるわけだ。

自分が誰なのか分からない。でも身についた技術は全て使うというジェイソン・ボーン。終盤でなぜ彼が追われる身になったのかが分かる。人間兵器としてのジェイソンに芽生えた人間性が完璧さを邪魔した。人間離れしたジェイソンにある弱さが実に人間らしい。

普通のアクションとは一線を画す出来なのは間違いない。ダイナミックなアクション、整理された脚本、ハマった配役が見事に調和した作品でとてもよかった。
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