Omizu

人生スイッチのOmizuのレビュー・感想・評価

人生スイッチ(2014年製作の映画)
3.7
【第87回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
アルゼンチンのダミアン・ジフロン監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品され、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。ペドロ・アルモドバルがプロデュースに名を連ねている。

面白かった!全6話のオムニバスで、様々な形で人生にひび割れが入ってしまう人々を描いている。別に「人生スイッチ」という装置が出てくるわけではない。

暴力と復讐という共通するテーマを扱っていて、素早い展開と後味の悪い結末がいい。それぞれ独立した作品として成り立たせているのが凄い。アルモドバルが惚れ込むのも分かる。

オムニバスだと途中でダレることもあるが、本作はダレとは無縁。鋭い手さばきで紡がれた短編集として最後まで緊張感を持って引き込まれる。

構成もよく考えられている。冒頭の掴み、最後の落としどころ、全て完璧。個人的には最初の話のテンポの良さ、あおり運転の話の結末が好きだった。「そんなことある!?」と思わず笑ってしまう。

キレのいい演出、縦横無尽な撮影、練られた脚本…誰が観ても面白い作品に仕上がっている。アルゼンチン映画の底力を感じる痛快作だった。
Omizu

Omizu