YohKitajima

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットのYohKitajimaのレビュー・感想・評価

5.0
これが男泣きってやつか。

時代に乗り遅れた小汚いおっさん達の、最後のがんばり物語。

冒頭の、蟻の湧いたサソリがクソガキ共に丸ごと燃やされる不穏な始まり方が、既に男たちの行く末を暗示してるような気分になる。
そして、そっからの一般人も平気で巻き込まれる強盗シーンがやっぱ掴みとして素晴らしいね。細かいとこで言うと、馬に乗った婦人がただ撃たれるのみならず、その後落馬してひとしきり馬に踏みつけられるシーンがあって、別にこんな描写しなくていいのにわざわざ入れてくるというところに、ペキンパーの描きたい暴力の姿があるんだなあと思った。

その後は割と終盤までおっさん達が仲良く頑張ってたりとゆるーいテンポで続くのだけれども、これがまたいいね。賞金稼ぎの頭が強盗団の頭のかつての友で、刑期縮小と引き換えに一味討伐をしなきゃいけないっていう、でもこいつもなんかちょっと一緒に悪いことしたがってるような感じもあるっていう寂しさよ。
あとは、強盗団みんなで村のサウナみたいなとこ入ってるとこの楽しそうな感じとか、一仕事終えた後にみんなで酒を回し飲みして、最後に1人分足りなくてみんなで大笑いするとことか、こう言うほっこりするのがとても良い、こんな描写があるからこそ、仲間の1人が将軍に捕まって酷い仕打ちを受けるとこはやっぱやるせない気持ちが大きい。ただ拷問受けるだけじゃなくて、助けようとした村の奴らも、ガキ共は引き摺り回されてる男の上に乗って遊び始めるし、女共は胸を揉まれながら嘲笑してくる。仲間がこんな人としての尊厳を失ったような状態にされても軍隊相手には手も足も出ないので、とりあえずみんなで売春宿に行ってスッキリさせようとするけど、下半身はスッキリしても心はスッキリしないので「let’s go」「why not?」の短いやり取りで、たった4人でカチコミかましてく。痺れるぜ。
最後に、前時代的なものの象徴のような武器を握って幕切れなのも、なんかグッとくるね。
YohKitajima

YohKitajima