さあこ

カポーティのさあこのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
3.5
「カポーティ」鑑賞。

「ティファニーで朝食を」の著者が6年かけて書き上げた「冷血」。それ以降、本格的な作品が書けなくなってしまった謎が描かれている。

カポーティ演じるフィリップ・シーモア・ホフマンが素晴らしい。カポーティ本人には全く詳しくないが、この映画のカポーティの脆く脆弱な精神と、それを守るための傲慢さと狂気を彼は見事に表現し、次第に壊れて行くカポーティを演じ切っていた。
声が特にいい、あの声変わりをしきらなかった妙に耳につく高い声と絡みつくような喋り方。笑い方も好きだ。
また個人的にはクリフトン・コリンズ・ジュニアに惹かれるものがあった。彼の身に纏う寂しげな空気感とどことなく狂気を感じさる眼はいいなあ。
そして浮遊感のあるカポーティを繋ぎとめリアリティを与える、幼馴染のネルを演じたキャサリン・キーナーの演技もとても良かった。笑うととても可愛らしくなるところも素敵。

音楽も派手な演出もほぼなく淡々と進む、善き人のためのソナタを少し思い出させるものがあった。
良かった。