オスロ合意前後から第2次インティファーダ、つまり合意の失敗と ロケット砲撃に対する反撃を名目とするガザ虐殺までをひとつの難民家族を通して映してる訳だけど、ガザで暮らす人々から見ると、イスラエルによって行われる"和平"も"自治"も虐殺の手段でしかない。
とにかく抑圧され続け テロとして不満が爆発するとまた更にガザ住む人々が潰され... の繰り返しで、映画内に出てくる言葉通り、和平は所詮"降伏合意"でしかなかった。一家の父が｢追われた故郷の土地が少しでも帰ってくるなら賛成するが、実際は何も変わらない(要約)｣と言うように、パレスチナ自治警察の誕生に歓喜する民衆も、数ヵ月後には失業と飢えに苦しむ。

酷いのが、ガザに対する徹底的な経済の制約と、イスラエルの糧として以外に働き口を残さない構造。しかもその職ですら｢テロ対策｣としての厳しい規制で奪われる。民主主義として機能していない自治政府や警察も勿論だけど、兎に角 人としての活動を断絶しようとするイスラエル。でも、空爆で家が粉々になっても淡々とコンクリートを積み続ける人々。｢たとえ私が(現イスラエルにある故郷の村に)帰れなくても、息子が帰る。息子でなければ孫が帰る。―孫でなければ、家族の誰かがいつか必ず帰る。｣

監督のライフワークにもなているイスラエル問題のドキュメンタリー4部作のいちばん最初のやつ。
オスロ合意以後のイスラエルのやりくち、虐げられるパレスチナ人を長期取材によって明らかにしている。
強硬派はシオニズム左派だったり、パレスチナ側にもイスラエル側の人々がいて、この問題が単純な二元論では片付けられないことを伝えてくれる。
オスロ合意以前には触れないという条件付きながらも、パレスチナ問題を理解するうえでかなり良質なドキュメンタリーなので、もっと見られていいはずなんだけどね。
面白かった。

90年代のガザの映像を見ることができた。