もとまち

チャイナ・ガールのもとまちのレビュー・感想・評価

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)
3.7
アベル・フェラーラ版『ウェスト・サイド・ストーリー』は暴力マシマシ音楽ダサダサの素敵な仕上がりに。濡れた路面が照り返すネオン、青白く照らされた夜のマンハッタン、シルエットとして映し出される人間たち。どのシーンも夜の撮り方が上手すぎて痺れる。何となくジョニー・トーの『PTU』に影響を与えてそうな感じ。全編に渡って鳴り響く80年代ポップスとキレ味の鋭い編集もノリノリで最高。ただ、メインを飾るロミジュリ的な男女のラブストーリーと、チャイニーズ/イタリアンマフィアの抗争劇があまり上手く絡んでこないのが物語としてはやや退屈だった。悲劇的なラストは『バッド・ルーテナント』や『フューネラル』に通ずるニコラス・セント・ジョンの平常運転か? いずれにせよ二人のロマンスシーンが圧倒的に足りてなくて感動はできない。雨の日にベランダ越しで約束を交わす場面がめちゃくちゃ美しかったのだが、ああいう瞬間がもっと欲しかった。
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