一人旅

ラルジャンの一人旅のレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
5.0
ロベール・ブレッソン監督作。

一枚の偽札を掴まされた青年の破滅を描く。

友人への借金返済の為に少年が写真店で偽札を使う。写真店主は偽札を処理するため、燃料販売の青年イヴォンへ燃料代の支払いに偽札を使う。
たった一枚の偽札の最終保持者になってしまったことからイヴォンの人生は彼の人格と共に崩壊していく。その過程が恐怖だ。
イヴォンは元々は善良な一般市民だ。妻も子どももいて、毎日必死に働き家族を養っている。
たった一枚の偽札が元でイヴォンは仕事を失い、娘も妻も失ってしまう。
イヴォンは全てを失ったのだ。
偽札一枚通じて世の中の不条理を味わってしまったイヴォンに以前の誠実な青年像はない。
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