ジョン

ラルジャンのジョンのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
4.2
アマゾンで1000円台で買ったけれど、このレベルの作品がこの値段で?というくらいの作品だった。

一枚の贋札がもたらす悲劇。人の業が煮詰まっていて、ロベール・ブレッソンの作り上げる冷たい映像がそれをより残酷なものに仕立てる。『白夜』を観た時にとても無機質な印象を抱いたけれど、本作でも。しかも本作に関しては更に突き詰めていて、どこまで人間に対して悲観的なんだと頭を抱えてしまった。救いが無さすぎる。

そして終盤の凄まじい展開。ホラーチックな演出が壮絶で、また、ラストに主人公が去った後も人々は何かを見つめる。ブレッソンがこの視線に託したものは何なのか。これが遺作というのはすごいな。
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