ハマチン

ラルジャンのハマチンのレビュー・感想・評価

ラルジャン(1983年製作の映画)
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10年ほど前に大学の授業で見た時は退屈な映画だと思っていたが、独特の演出が印象に残っており、それからはブレッソン作品をリマスターされ映画館で再上映される度に見に行っている。
今回、ラルジャンに関してはBlu-rayを購入して再鑑賞。
こんなにも、衝撃的な作品だったということに見直して感じた。

偽札により、連鎖する不幸と不運。
一人の男性が堕ちていく様をストーリーを追うというよりも、そこに映し出される事柄をレンズ越しに観客に見せているという、徹底的に無駄を廃した演出と敢えて見せないことで、そこで起こっている真実を想像させ、終始流れる不穏なムードと緊張感は凄まじいものがある。

正直、ブレッソンのシネマトグラフは見る人を選ぶ作品ばかりだが、何人もの監督たちに影響を与えていることは明白であり、偉大な監督であることをこの遺作で再確認させられた。
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