ハマチン

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のハマチンのレビュー・感想・評価

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小学生の時に「地獄の黙示録 特別完全版」を怖いもの見たさで父親と見に行って燃え上がるジャングル、ワーグナーが鳴り響く襲撃、霧深い川を登る船、踊るダンサーに群がる兵隊、顔を白く塗られた原住民、生贄に捧げられる水牛・・・。などストーリーがどうかなんて理解できなかったけど、鮮烈に記憶に残る映画体験をしたのは30を超えても鮮明に覚えている。それからも、ディレクターカット版やオリジナル版と様々公開されて何度見ても、「地獄の黙示録」のもつエネルギーに圧倒されてきた。そんな唯一無二なパワーを持った作品がどう作られたのかをコッポラの妻・エレノアの視点で映し出したドキュメンタリー。映画の中で描かれていた地獄と狂気が、撮影現場でも同じように毎日のように起こっていた。その狂気の世界を自分の財産を投じてこの世に送り出したコッポラ自身が、狂気の化身となって映画を撮っていたことがフィルムに鮮明に刻まれており、この先このような作品が作られることはないだろうという諦めのような気持ちにもさせられつつも、コッポラの念願だった「Megalopolis」が巨額の予算で作られているというニュースを知り、この作品のような観客を圧倒する作品であることを期待して待ちたいと思う。
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