スギノイチ

追跡者のスギノイチのレビュー・感想・評価

追跡者(1970年製作の映画)
3.5
悪役のはずのリー・J・コッブは清濁併せ呑むタイプの統治者として描かれる。
雇用者の不祥事を隠す一方で、土地と人生に誇りを持ち、人種差別を憎み、人命を尊重する面を持つ。

対する主人公のランカスターはマシーンのように法を執行する。
その度に町は混乱し、秩序は乱れ、不幸な人間を増やす。
マイケル・ウィナーが後年に撮った『狼よさらば』のブロンソンと同じで、暴力の中で目的と手段が逆転した処刑中毒。

コンセプトは面白いし、陰鬱な雰囲気はさすがマイケル・ウィナー。
リー・J・コッブの最期で、僅かなカタルシスさえ奪われる。
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