アルファルファ

戦場のメリークリスマスのアルファルファのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.3
戦争がもたらす影響の大きさ・悲惨さがよく伝わってくる作品。
戦争は日本軍の外国人兵士捕虜施設という、暴力と服従で成り立つ特異な空間を生み出した。
そこでは日本兵、外国人捕虜ともに自由は無い。
祖国、自分の運命など、そんなこといちいち考えていては正常でいられなくなる。
ビートたけし演じるハラ軍曹を見ていると、彼も軍曹という重圧の中、徹底的にサディストを演じることで理性を保っていたのだろうと思う。
酔っているシーンや最後のローレンスとのシーンの彼が本来のハラなのだろう。
有名なBGMがかかるOPとEDではハラとローレンスとの関係性が真逆になっているのも印象深い。
戦争が終わり、憑き物が取れたような彼の表情の変化は、彼自身も戦争という愚かな行為の被害者だったことを表している。
戦闘シーンを一切描かず、ここまで戦争の異常さを表現できる本作品はまごうことなき名作である。
メリークリスマス、ミスターローレンス!