たまち

戦場のメリークリスマスのたまちのネタバレレビュー・内容・結末

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


・すべては理解できない。恋なのか畏れなのか、線引きできないヨノイが。でも部分的に理解できる気がするし、この『理解したい気持ち』こそ大事にしたい。こうして何度も見たくなるのがこの映画の凄い所なんだろう。

・印象的な切腹と舌切り。極限の状況下では殉じるほどの愛が生まれるのか。
・金髪首だけ出されて埋められた夜叉のようなセリアズ、その髪を祀るという行動もなんとなく理解できる気がする。


・特にヨノイの坂本龍一は、正直演技はうまくないんだろうが『突然異質な世界に放り込まれその役を演じなければならず気を張る』姿が異国に赴任してきた青年将校としての立場と重なり、むしろその無理している姿がうまく役にはまっていた。北野武も同様に、戦時下で与えられた『看守役』を演じていると思うと禊ぎを終えたような清涼なラストシーンとの人物像の乖離も少ない。これはキャスティングの妙。

・『上官を狂わせる悪魔』としてセリアズを憎悪するところが日本らしいというか、ヨノイを慕う部下のいじらしさを感じる。

・かの有名な音楽が耳を離れない。ちょっとジブリのような、浮世離れした雰囲気もある。
・それにしても大脱走とかを見た後だと、捕虜の扱いにおける日本軍の国際感覚の無さに呆れる。(すべての収容所がそうじゃないと思うけれど)一方でこちらが当然な感覚も少しあり、私たち日本人は『捕虜になるくらいならさっさと死んだほうがいい』という洗脳が解けていないことを思い知る
たまち

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