このレビューはネタバレを含みます
1930年代初頭の名作ギャング映画の1つ。
シカゴの暗黒界を、酒の密売で成り上がっていく幼馴染二人の栄枯盛衰。
「作者の狙いは、現在のアメリカ社会に存在するある特定の階層を率直に描くことである。これは決してギャングへの礼賛ではない」
ギャングを当時の社会問題として捉えている所が特徴的な作品だった。禁酒法時代に暗躍するギャングと、悪事に手を染めていく若者たちがリアルに描かれている。"民衆の敵"とは特定の人物ではなく社会が生み出したものだった。
1931年の作品ということで映像の粗さこそ目立つが、なかなかドラマティックで、見応えのあるシーンがいくつもあった。トム(ジェームズ・キャグニー)が豪雨の中、不敵な笑みを浮かべながら襲撃するシーンやピアノのシーンが印象的。
そして、もはや芸術的とも言っていいショッキングなラストシーン。息子の帰宅を心待ちにする母親との対比、やっと和解し始めていた兄のリアクション。何とも言えない余韻が残る。これが裏社会の性ということか。
タイトルクレジットの動くキャラクター紹介が格好いい。
"... I ain't so tough."
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