この映画は「文化的、歴史的、または美的に重要である」としてアメリカの国立フィルム登録簿に選ばれているのだそう。やはり栄誉を与えられた名作だったのですね。
田舎町のありふれた日常、いつもの仲間たち。加えて戦争の影響下のベトナムでの忌まわしき記憶。こういった世俗と対比するかのように描かれる鹿狩りシーンの崇高な雰囲気が深く心に残ります。183分という長尺の中でわずか10分程度ですが、特に後半の鹿狩りのシーンに心が揺さぶられました。
雄大な山々と空気が醸し出す厳かな景色に、鹿狩りを神聖なる儀式に捉えたようなハンターの振る舞い、そしてなにより立派なツノを持った雄鹿の神々しい立ち姿に前後全てが集約されてる気がするのです。
そしてラストを迎えたあとは、「頑張って生きなきゃ」とも思わせてくれます。
そのほかに思ったことをつらつらと↓
☆ ロバート・デ・ニーロの演技が彼のキャリアの中でも特に際立ってる気がする。
☆ エモーショナルなギターの旋律が素敵。過ぎし日をいつくしむ感情が湧きますし、ラブソングにも聞こえる。
☆ いじられキャラを演じたジョン・カザールが余命宣告を受けていたエピソードは胸を締め付けられます。本作公開を待たずして亡くなったのだそう。これを知った後に再鑑賞したら、ラストの食卓のシーンが前回とは違う印象となり目頭が熱くなる…。