マーくんパパ

ディア・ハンターのマーくんパパのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.7
『地獄の黙示録』『プラトーン』『フルメタルジャケット』(公開順)と本作が究極のベトナム戦争映画だとすると一番最初に封切られた本作を一番最後に観たことになる。というか封切で観たのは『地獄の黙示録』だけ、もうこの種の題材は観たくないと決めていたので他は全てDVD での相当な周回遅れで止むを得ず観た感強い傾向。生生しいベトナムの戦場場面を初めて映像にした記念碑作でもあり議論と非難百出した〝ロシアンルーレット〟場面の公開時の衝撃は如何程か想像がつく。大義の戦争の筈で赴いた若者たちが悲惨な現場とのギャップで心と身体を大きく病むアメリカの病巣を題材にした時代がこの後もずっと続く。戦地に行った鉄鋼の町で働く若者3人:鹿狩りの得意なマイケル、新婚直後のスティーブ、彼女を地元に残したニック。五体無事に勲章貰って帰還したマイケル役デ・ニーロも『タクシードライバー』トラヴィスで闇を抱えた若者として再登場⁈フロンティア目指し進み原住民インディアンを殺戮するアメリカ人が正義でもヒーローでもないことは西部劇の世界感も変えていく時代、古き良き時代のラストアメリカンヒーロー、J・ウェイン(ベトナム戦高揚映画〝グリーンベレー〟主演)が本作のアカデミー作品賞のプレゼンターだった事は大いなる皮肉。