マーくんパパ

橋のない川のマーくんパパのレビュー・感想・評価

橋のない川(1969年製作の映画)
4.0
先に1992年作の東陽一版を観てしまったが、こちらの方が被差別感の描写は遥かに濃密。おばあの北林谷栄と豊作・伊藤雄之助の存在感が圧倒的で被差別部落に暮らす悲哀がひしひしと伝わってくる。先祖代々の因果に囚われ学校でも言われなきイジメに耐える誠太郎と孝二の兄弟、島崎藤村『破戒』、火事騒動でお別れ言って自殺する武、明治大葬の黙祷で握られた手の意味、雑巾汚いと言われ制服で拭く廊下掃除、豊作のなけなし喜捨で買えたポンプ車、ズタズタ優勝旗etc。幾多の哀憎抱えて暮らす人々、今でも完全に解決出来ていない部落問題の根源を考えるキッカケとなる良質映画でした。