【第51回アカデミー賞 作品賞】
ディアってDearじゃなくてDeerなのか。なるほど。ロシアンルーレットのシーンが有名なのでもっとドンパチする戦争映画なのかと思ってたけど、実際の戦争シーンはごく僅か。それよりも戦争がもたらす心の傷、戦争が壊した心を痛々しく描いたヒューマンドラマだった。
デ・ニーロは出征する前と後では目つきがまるで変わる。戦争後の悲しい目が映るたびに胸が締め付けられた。メリル・ストリープの不安定な感じがすごくいい。今の大女優然とした雰囲気とは全然違っていい。『ソフィーの選択』もそんな感じだったな。
ロシア系移民、イタリア系移民など貧しい白人たちを主役にしてベトナム戦争がいかに無益で心を破壊するものであったかを静かに残酷に描いている。犠牲になるのはいつも貧しい人々。黒人視点でベトナム戦争を描いた『ザ・ファイブ・ブラッズ』と合わせてみるといいのかも。