ボブおじさん

8 Mileのボブおじさんのレビュー・感想・評価

8 Mile(2002年製作の映画)
3.7
映画の舞台となるデトロイトは、かつては自動車産業で栄えたが、70年代の石油危機で日本車との競争に負け、自動車産業が破綻した。

中心地を丸く囲む環状道路「8マイル」の内側はゴーストタウンと化し、南側に黒人、北側には白人貧困層が住む治安の悪い地域になってしまった。

白人中間層は、決して「8マイル」の内側に住むことはない。

その廃れたデトロイトの街で暮らす貧困層の白人青年が、負け犬的な生活を送る毎日に押しつぶされそうになりながらも、ラッパーとして覚醒していく姿を描いた、映画初主演のエミネムの半自伝的映画だ。

母親と幼い妹とトレーラーハウスに暮らすゴミ溜めの様な生活から抜け出す為、クラブでラップバトルに人生を賭ける。

黒人主導のカルチャーに白人が殴り込みをかけるという、完全アウェイの中、マイク一本で勝負を挑む姿は、スリリングであり格闘技の試合を見ているようだ。

即興で吐き出す言葉で相手の弱点を狙い撃つラップバトルは、肉体ではなく精神をえぐり取られる。

かつて矢吹丈がボクシングでドヤ街から抜け出し〝泪橋〟を逆に渡った様に、エミネムは、言葉という拳で〝8マイル〟の呪縛から抜け出した。

(う〜ん、我ながら例えが古い😅)