ボブおじさん

テスラ エジソンが恐れた天才のボブおじさんのレビュー・感想・評価

3.3
今日4月18日は〝発明の日〟だそうだ。発明と言えば白熱電球や映画を生み出したエジソンや電話を作ったベルを思い浮かべる人が多いと思う。特に児童伝記シリーズでも有名なエジソンの名を知らぬ人はいないだろう。

では発電機の規格をめぐって〝電流戦争〟と呼ばれる死闘をエジソンと演じ、最終的に完全勝利した伝説の発明家ニコラ・テスラのことはご存じだろうか?

残念なことにニコラ・ステラは、その実績に比べて余りにも知名度が低い😢

テスラは、現在の電気の基礎である交流電流の送電システムをはじめ数多くの発明を成し得、バラク・オバマ元米国大統領や故スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクらから熱いリスペクトを受ける掛け値無しの天才発明家である。

だが、テスラの人生は、偉大な人物として称賛を受ける一方で、〝孤高〟〝異端〟〝狂気〟といった言葉を用いて称されることもあり、その最期は栄光とはかけ離れたものだった。

そんな一風変わった彼は、これまでも映画の中にしばしば登場している。一番有名なのはクリストファー・ノーラン監督の「プレステージ」だろう。この中でデヴィッド・ボウイが演じたステラは、実名で登場し重要な役割を演じている。

また、トーマス・エジソンを主人公として〝電流戦争〟を描いた「エジソンズ・ゲーム」にも当然のことながら登場し、こちらはニコラス・ホルトが演じている。

さて本作品だが、物語の前半はテスラとエジソンの関係性に深く切り込み、敵対しつつも科学者として互いに強く意識する複雑なつながりが示唆されている。さらに、電流戦争に勝利したあとのテスラの活躍も描かれ、学会から無視されてきた彼に大学から名誉学位が授けられ、大富豪や有名俳優とも知り合いになるなど、一躍時の人に。しかし、高周波の電磁パルスによる情報の送電システムの研究にのめり込んでいくなかで、しだいに孤独への道を突き進んでいく。

もしも彼がこの世に存在していなければ、現代の私たちの暮らしが成り立たないとも言われる二コラ・テスラ。時にマッドサイエンティストとも呼ばれてしまうが、この映画を観れば、彼が不器用ながらも科学に真摯に向き合ってきた人物であることがわかるはずだ。

だが、残念なことにこの映画のスコアは芳しくない。理由の1つは彼の知名度が、その実績と比べ余りにも低いこと、更には唐突にノートパソコンやスマホといった現代文明の機器が登場する演出が観る人にとって意味不明と捉えられたのかもしれない。

当然だがこれらの演出は、生まれるのが100年早かったと言われる彼の現代を予見する思考のメタファーなのだが、この辺りの比喩的な表現を大胆で実験的な演出として楽しめるか、説明不足の自己満足的演出と感じるかで評価は分かれるだろう。

でも最後にこれだけは言わせてください。〝この映画のことは嫌いになっても、ニコラ・テスラのことは嫌いにならないでください😭〟



〈余談ですが〉
◆イーロン・マスクのEV(電気自動車)メーカー「テスラ」の社名は、ニコラ・テスラにちなんでつけられたものだ。マスクはニコラ・テスラの信奉者として知られている。

◆ 電気のイメージが強いテスラだが、彼は100年前に、可動部品を利用せずに形状だけで流体の方向を制御する独創的なバルブの特許を取得している。

ニューヨーク大学の研究チームは、これまで本格的な研究がされていなかった、この通称「テスラバルブ」の流体力学を徹底調査し、これまで知られていなかった新しい機能や現代でも通用する有用性を明らかにしたと報告している。

天才テスラの発想は、100年を経てもまだ完全に理解されていなかったのかもしれない。