魂揺さぶるアツい映画。久々に映画で満腹感を得ました。
舞台は90年代デトロイト。自動車産業もすっかり廃れたこの街に、あるひとりの男がいた。彼の名前はジミー、愛称は〝バニー〟。ラッパーとして大成することを夢見る彼は、貧困者の街のトレーラーハウスでサイテーな環境の中暮らしていた。自分の家を見つけるお金も得られず、呑んだくれでクズの彼氏を持つ母親の元で暮らす。黒人のカルチャーであるという一般的な考えからくるプレッシャーから、ラップもうまくいかない。せっかく出来た彼女はライバルに寝取られる。それでも彼は、いつか立派なラッパーになってこの貧しい〝クソ〟な暮らしから抜け出し、8mile先の街で輝かしい生活を送ることを夢見ていた。
主題歌はエミネムの代表作の１つでもある『Lose Yourself』。もとからそこそこ好きではありましたが、この映画のエンドロールに流れた時、トリハダがたちました。なぜこの歌に字幕つけんのだ。
この歌のポイントは、〝夢を掴め〟というところですが、まさにその通りの映画。彼女は寝取られ、親は呑んだくれ、職場でも冴えず、ラップは黒人文化だから白人はよそ者扱い。最低最悪のこの環境を、自分の夢で変えてみせる、というアツイアツイ漢の映画です。ラスト30分は拳握りっぱなし。これがエミネムの半生だと思ってみると、彼のことがうんと好きになります。
観てよかった。お腹いっぱいだ。
