妻を残して交通事故で亡くなってしまった男性が幽霊となって現世をさまよう、タイトルまるっとそのまんまなお話。あのシーツお化けの何とも言えない哀愁がかわいらしい。
鑑賞中にいろいろと考えを巡らせたけど、正直に言ってよくわからなかった。セリフもごくわずかで、肝心な感情を読み取るための表情もシーツに隠れてしまって見えない。その一方、ある男性のシーンだけやたらとセリフが長かった。生命の意義や理についてだらだらと説いている一幕だったが、この点を踏まえると、
夫は自分の生きざまに答えを見いだせず、またすでに終わってしまった自分の生涯に納得がいかないまま死んでしまった。妻は前に進み、家は新たな人の手に渡る。様々な人が過去にも未来にもその場所で過ごしたが、亡霊となった夫が望むことは一つ。「妻とこの家で過ごしたい」。隣の家のお化け仲間は、待っていた人がもう帰ってくることはないと悟った時に姿を消した。この夫の亡霊も、輪廻をへて、生涯とは儚くあっけないものだということを理解したことで、生涯の最後の一歩として成仏した
ということなのかな、とも考えられるかも。妻が残したメッセージだったり、考察の余地は無限にあるとはいえ、こうして頭を使うよう促してくる映画は嫌いではない。その一方で、世界観も作風もあまり好みではなく、音楽も個人的にはあまり刺さらなかったので、思い出に残るような作品ともいえなかった。ちなみに一切怖くないです。
