けーはち

魔女の宅急便のけーはちのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
3.4
13歳の魔女キキが飛行能力で配達の仕事をする児童文学のアニメ化。非現実を現実の一部として組み入れた世界を描くエブリデイ・マジックでは「ドラえもん」の次ぐらいに代表的な作品。時代の変化に愛惜を感じながらも健気でいきいきとした登場人物たちの織り成す爽やかな物語に、ダイナミックなアニメ表現は見事。「魔女」の力が消えたり戻ったりする契機は曖昧だが、そもそもの魔女が棒状の箒に跨って飛ぶ行為自体、性的な儀式のメタファー。児童文学なのでフロイト的解釈は程々に😅(母親のお下がりの箒で飛べなくなり、行きずりのおじさんからデッキブラシを借りるという行為は……)。久石譲の音楽はとりわけキキが旅立って海の見える街に到着するシーンのBGMが印象的で、同じモチーフの繰り返しをベース音の下降・上行で対称的に弾むような変化をつけるさりげない技巧が冴える。