BOB

コールガールのBOBのレビュー・感想・評価

コールガール(1971年製作の映画)
3.7
アラン・J・パクラ監督の出世作となった探偵クライムサスペンス。

私立探偵クルートが、男の失踪事件を捜査する。唯一の手掛かりは、ニューヨークで暮らす人気コールガール。

"And for an hour... for an hour, I'm the best actress in the world, and the best fuck in the world."

アラン・J・パクラ監督作品は『大統領の陰謀』『ソフィーの選択』に続いて3作目。

とても暗くて地味だが、見応え十分の70'sネオノワール映画💽。『大統領の陰謀』と同様、探偵が巨大な闇の真相に迫っていく。緻密に作り込まれた映像が興味深かったし、影のある女性を演じたジェーン・フォンダも素晴らしかった。

探偵サスペンスとコールガールの自己探求ドラマのどちらもボヤッとしているように感じた所が惜しい。本作を探偵サスペンス一本に絞ったのが『大統領の陰謀』と言えるのかもしれない。

撮影・編集
・撮影監督は『ゴッドファーザー』トリロジーでコッポラ、『アニー・ホール』『マンハッタン』等でウディ・アレンと組むことになるゴールドン・ウィリス。編集は、フォンダ家繋がりなのか『十二人の怒れる男』のカール・ラーナー。
・コールガールのブリーと私立探偵クルートの関係性の変化(監視被監視関係→バディ刑事関係→恋愛関係)が映像からも読み取れた。肩越しショットに映るコールガールの面積がどんどん大きくなっていくetc。
・コールガールのブリーが、画面の中で小さく映っていることが多く、閉塞感、や圧迫感、謎の大物に支配されている印象を強く受けた。第三者の存在を匂わせるロングショットで撮られていたり、柵、階段、窓・カーテン、建物の壁、人や物によって、画面の隅に押し込まれたりしていた。

見覚えのある顔が出てきたと思ったらロイ・シャイダー。本作がメジャー映画デビュー作なのかも。この後、『フレンチ・コネクション』『ジョーズ』『恐怖の報酬』『オール・ザット・ジャズ』...と、どんどん活躍の場を広げていく。

女性のささやき声が混じる伴奏が、怪しい雰囲気作りに一役買っている。

邦題ミスリード問題。原題の『Klute』ってコールガールじゃなくて、探偵の名前やんけ。確かに、本作の主役はコールガールの方だと思いますけども。

66
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