厳格な母親(フランシス・マクドーマンド)と奔放な姉(ズーイー・デシャネル)と暮らす15歳のウィリアム(パトリック・フュジット)は姉の影響で音楽に目覚め、ジャーナリストとしてロックバンドのツアーに同行する。その中で出会ったBand Aidを自称するペニー・レイン(ケイト・ハドソン)に惹かれ、ギタリストのラッセル(ビリー・クラダップ)と仲良くなる。
雰囲気よすぎてすごく好きで、「やられた」って感じ。
見事にキャメロン・クロウ監督の術中にはまってしまった。
見事な青春映画であると同時に男の再生を描き、素晴らしい音楽映画にもなっている。「セイ・エニシング」や「幸せへのキセキ」も大好きだが、この映画が一番キャメロン・クロウらしい気がする。
ちょっと現実からは突き抜けちゃってるけど、青春時代のときめきや苦しみが生々しく描かれる。
ウィリアムもペニーも、ものすごく背伸びして、憧れの世界で自分の存在を大きく見せようと振る舞う。そして、世の中の残酷さを知り深く傷つき、それでもまた前に進んでいく。
そんな、彼らの純粋さに変えられていくラッセルの描かれ方もいい。特にラッセルとウィリアムの母親の電話のやり取りや、家での会話などが笑えて沁みる。
それと同時に、若さゆえに親を悲しませる子供の姿に胸が痛んだ。
選曲傾向は自分よりちょっと上の世代だが、その良さは十分に伝わってくる。中盤、バスでみんなでエルトン・ジョンの「Tiny Dancer」を歌うシーンが最高だ。
あの雰囲気の中での、ウィリアムの「家に帰らないと」にペニーが「ここが家よ」って答えるシーンには悶絶した。
キャストも良い。実はケイト・ハドソンはあまり好きではないんだけど、この映画の彼女は魅力的だし、まだ出始めのズーイー・デシャネルがウィリアムの姉を演じ、アンナ・パキンがグルーピーの一人で出てる。
さらにフィリップ・シーモア・ホフマンが脇役ながらいい味出してる!