【残念賞――ヒッチコックの映画(その14)】
BS録画にて鑑賞。
もう少ししゃれた映画かと思っていたけど、ちょっとアテが外れた感じ。てっきりケーリー・グラントがおしゃれな泥棒シーンを見せてくれるのだと予想していたので。それに最後近くて実際に宝石が盗まれるのだけれど、肝心の盗むシーンは省かれていて、何これ?であった。
もっともこの映画、盗むのは人の心なのかもしれない。だけど、今風に言えばツンデレのグレース・ケリーとグラントの絡みもなんだか堅いし、エンタメと割り切ってのお話かと思えば第二次大戦期のレジスタンスの話が出てきたりして、変に道徳的なのである。
もともと私はヒッチコックとは相性が悪くて、作品を見て感心したことがあまりないので、多分私の感性とヒッチコックのそれの位相が根本的にズレていることに原因があるのかも知れないが、南仏の風光明媚なリゾート地をバックにしながら、アメリカ魂みたいなものを宣伝しないでは済まないあたりは野暮天と言われても仕方なく、「アメリカ=田舎者」的な印象を逆説的に強めているとしか思われないのであった。
ハンサムと美女の共演なのに、残念賞。