ヤスヤス

秋刀魚の味のヤスヤスのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.1
小津監督の遺作。冒頭の工場の煙突や電線、ドラム缶のカットから、小津ワールドに一気に引き込まれる。
毎度、同じようなテーマが繰り返され、時代的なギャップも拡大する一方でありながら、なぜこんなにも面白いのか。ファミリードラマとして、普遍的な優しさとユーモアを備えているからだろうか。
本作で特に印象に残ったのは、トリスバーのシーン。軍艦マーチに合わせて、敬礼しながら行進する加東大介、それを敬礼しながら見守る笠智衆。まだ戦争の記憶が生々しかった当時は、このような場面があちこちで見られたのだろうか。「負けて良かったんじゃないか」との言葉にも重みがある。
「秋刀魚の味」というタイトルでありながら、全く秋刀魚が出てこないことに驚いた。
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