KnightsofOdessa

秋刀魚の味のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
3.5
[] 70点

小津遺作。いきなり赤白の工場煙突と赤白のドラム缶が並んでいて意識が飛びかける。え、ヴィットリオ・デ・セータ観てたっけ?というくらい綺麗な工場のショット(『浮草』評参照)。設定が1962年だとして戦後17年、"もはや戦後ではない"という言葉もこれを観たらなんとなく理解できた。24にもなったんだから娘を嫁に出さないと、主人公も長兄も考えているが、一方で出される側或いは出された側の路子(岩下志麻)や秋子(岡田茉莉子)は男たちよりも断然強く、お前らそんな事言える立場かよというのまで含まれている気もする。娘が24で嫁に行こうと30で行こうとなんなら行かずとも結局人間は孤独になるんだよなあと、中学時代からの同期と酒を飲む。娘の嫁入りの話が終わったら、自分の後妻と長男の子供の話にスライド、そろそろ次男の結婚の話にもなっていくんでしょうなあ。黒澤明『生きる』でも思ったが、この時代の人はヒョータンとかテンノーとか渾名にセンスがありすぎるな。私も教師陣は渾名で呼んでたけど、名前を文字る程度だったので正直羨ましい。残り17本。
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