ろく

極道社長のろくのレビュー・感想・評価

極道社長(1975年製作の映画)
2.5
夏だ!海だ!梅宮辰夫だ!②

マズローの5段階欲求に依れば生理的欲求が最下層のはずなんだが梅宮にとってはそれが全てである。「腹が減ったから喰う」「やりたいからヤる」ある意味野生。そうだ、梅宮映画を見て野生に戻るんだ、ガオー。

冒頭からトルコで汗を流し、仲間と鍋をつつくシーンを、キャバレー大騒ぎするシーンを見てその仮説は正しいと思う。間違いない。梅宮は野生なんだ(二回言う)。

主役は三井住友(どんな名前だよ)。金に厳しい高利貸だ。そして梅宮に翻弄される二人として室田日出夫と川谷拓三。もうこの時点でポンコツ映画でしかないぜ。

とここまで書けば70年代ポンコツ映画だから面白そうじゃない。でもそうじゃないんだなぁ。監督の中島貞夫はウェットな監督だ。これを鈴木ソクブンや野田幸男が撮ればきっと馬鹿に振り切るんだけど、中島だからすぐベタな感情シーンをかます。橘真紀とのラブシーンなんかベタで正直こっちが困ってしまう。梅宮はもっと欲求に忠実でいいのにね(それでも橘のフェラチオで恍惚とした顔をする梅宮はサイコーだけどね)。

ただ昭和時代のキャバレーの狂騒など楽しいシーンもある。というか昔ってコンプラがない時代だからよくも悪くもエネルギッシュなんだよ。欲望に忠実なのはよくないんだけど、ある種の本性も観れるのでこれはこれでよしですよ。ジャングルバンズだーと大騒ぎしてパンティを脱ぐキャバレー嬢を見てこれはこれでありな時代だったのかなぁとも思う。

後半はおなじみ殴り込みで終わるけど、その乱闘シーンはいただけない。地味地味地味。せいぜい螺旋階段からの階段落ちくらい。ああ、やはり中島貞夫は信じてはいけなかった。「温泉こんにゃく芸者」を見たときもこのコンテンツでなんて地味な作品を作るんだといらいらが止まらなかったけど今作もそう。ピラニア軍団をここまで使ってあんたこの程度かよと思うと忸怩たる思いが止まらない。

最後に梅宮が「銭が頭で稼ぐもんやぁ」と言って終わるけど、それをあんたが言うなよって突っ込んで終わる。あんた一番頭使ってないじゃん。

※キャバレーの朝礼(朝じゃないけど)で「おしまずに見せる触る、触らせる」という素敵な標語を聞くことが出来る。こんなのをいきなりぶっこむ昭和という時代はやはりクールだ。
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