空

蟻の兵隊の空のレビュー・感想・評価

蟻の兵隊(2005年製作の映画)
3.5
戦争が終わったのに中国の内戦にそのまま「軍の命令」として残った部隊が中国で戦い、捕虜となり日本に帰ったのは昭和29年。但しその部隊が軍の命令として残ったとなるとポツダム宣言に反することになるので傭兵、志願兵として残ったということになった為裁判をおこしたという人々の映画。

最初の靖国神社に来ていた焼きそばを食べる若者に「何をしにここへ?」と聞くと「今年もいいことありますように♪って」というのが笑える。

内容は傭兵とされた部隊が中国でしたこと、中国を訪ね中国人らに当時のことを尋ねること、傭兵(とされている)なのに自害する時に「天皇陛下万歳!」と言って逝った戦友のこと、どれもこれも胸に刺さる。

南京に限らず中国人に酷いことをしてきたのは間違いないのだろうと思った。そしておじいさんも仰っていたが、「強姦するメンバーに自分がいたら断れたか?」という問いに「断れなかったと思う」というのが戦争の恐ろしさを物語っていた。

逃走した日本人部隊の警備員の「子」に「何故逃げた!」と憤るシーンではきっとどれだけ年をとっても戦争の時の話をするとその時に頭は戻ってしまうのだろうと思うと切なかった。


戦争は終わったのに軍を残留することに決めた参謀の同期でそのことを証言した90過ぎのお爺様が何も話せない寝たきりなのにその人が来て裁判の報告をすると嗚咽していたのを観て人の悲しさがひしひしと伝わる。

戦争で殺人マシーンを作っていくこと、戦争がなかったら普通に暮らしていた人々のこと

蟻の兵隊

蟻としてしか生きられない人々の悲しみをみた。
そして誰もがそうであろうことも
空