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瀬戸内ムーンライト・セレナーデのsenatsuのレビュー・感想・評価

4.0
もっと知られてほしい。
神戸の震災が起こったところから話ははじまり、記者の方が神戸の惨状に筆を走らせる。真っ赤に燃える街を、子供の頃にみた、戦争で焼かれた街並みに重ね合わせる。
次第に当時への回想へとなだらかに移換していき、舞台は戦後の敗戦国日本へ。

お国のために命を捧げて灰になって帰ってきた我が子の遺骨を、故郷に埋めにいく旅がはじまる。九州へとたつ船のなかで、たまたま乗り合わせた乗客達の群像劇を通して、当時の禁止された事柄や、厳格な男尊女卑、米軍の隣を歩く女性への差別用語など、放送がタブー視されている事柄が親子劇のカモフラージュされながら、背景として鮮烈に描かれている。

神戸の震災の話をアメリカの友人に出来るかと思い、一緒に視聴を始めたものの
まさかのアメリカとの戦争の話がメインで気まづかったけど
お互いの歴史について勉強しなおす姿勢にも繋がり、
映画を見終わった後に、史実を読み漁ったりそれぞれの考えをまとめたりしました。

ただ戦争ものだと重くて見る気がしないのですが、これはその当時の若者が現代の若者と同じように恋をし、親に反抗する、青春映画として見ることもできるので、とてもいいバランスでした。

長塚さんの演技に⭐︎5
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