三月

七小福の三月のレビュー・感想・評価

七小福(1988年製作の映画)
3.9
香港映画好きなら観て損はなし。
主役の子どもたちには、その後のジャッキー、サモハン、ユンピョウの面影がしっかりあってホロリとする。

子どもたちに厳しく京劇を教え育てるユン先生を演じるサモハン、その気の良い弟弟子にはラムチェンインという、香港映画の兄貴的な役者が大人側の主役をはる。この2人もまた京劇の世界でともに厳しく育ってきた仲であり、現在、記憶、未来、フィクションでありながらドキュメンタリー性も含んだドラマを俯瞰で見ているこちら視聴者側、全てひっくるめて入れ子式になっているような構図で、素晴らしかった。

ストーリーとしては、もう少し、子どもたちの舞台の活躍や映画の世界のことも描いてほしかったようにも思う。
芝居を愛するあまりの後半のラムチェンインの渾身の演技は、前半の心優しく、かっこいいおじさんの描写との対比もあってとても悲しく切なく、しかし同時に一瞬一度きりの輝きを放ってもいる。
三月

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