上海十月

麦秋の上海十月のレビュー・感想・評価

麦秋(1951年製作の映画)
4.5
小津作品を見るのは、歳をとるとだんだん怖くなってくる。年をとってくると妙に理解してくる。深読みだと思っているのだが、どうもそんな気がしてくる所が困る。本作は、昔見てさっぱり何だか分からなかった作品の一つ。今村昌平が小津作品に言っているコメント「潜熱」が本作に一番当たるんじゃないかと思いますね。紀子の年齢考えると関東大震災の年に生まれ戦争を経験しての占領下の日本6年目の話だ。間宮家は、中産階級よりも上な感じの人だった当時の敗戦後の日本人を描いてるとは思えないが、どうもわざとそうして観客に戦前、戦中、戦後を余計に想像させるためではないかと感じるのです。大和のおじいちゃんが「大和は、まほろばだ。」と言うのは、なんか唐突感があり不思議だった。おじいちゃんと間宮の老夫婦が大和いて花嫁行列を見ているのは、黄泉の国?死んでる?ホラー?そんな想像をしてしまう作品 だ。無情感が一番ある作品だと思いますね。
上海十月

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