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カウボーイ&エイリアンのtakのレビュー・感想・評価

カウボーイ&エイリアン(2011年製作の映画)
3.0
異星人侵略と西部劇。考えてみりゃ、新旧娯楽映画ジャンルの取り合わせだから安直と言えばかなり安直。タイトルもあまりに直球。発想自体はB級だと言われても不思議ではなかったかも。ところがそんなお気楽とも思える企画に、スピルバーグにロン・ハワード、ジェームズ・ボンドにインディ・ジョーンズが集結する!これは映画愛以外に理由があろうか。タランティーノとロドリゲスがグラインドハウス映画にオマージュを捧げたように、彼らもウエスタンやSF映画にわくわくして大きくなったということなのだろう。

確かにツッコミどころは満載。異星人が金の採掘に地球にやって来たのはよいとしても、人間をさらって何をしようとしていたのかは最後までわからないまま。ダニエル・クレイグの妻が殺される場面こそあるけれど、やっぱりそれは何の目的なのか理解できない。異星人の造形は、同じスピルバーグが関係している「スーパーエイト」のクリーチャー(ポケモンのカイリキーかゴーリキー似)にどこか似ている。高度な文明をもっているであろう異星人が素手で戦うのもどうかと思うし、腕輪の銃だって異星人の方がよっぽど使い慣れてるはずなのにダニエル・クレイグには当たらない。いちばん意表を突かれたのは「私は地球人じゃないの」というオリヴィア・ワイルドの唐突な告白。隠密の使命なら正体を明かすのは最後の最後でもいいような。

されど僕はこの映画を楽しめなかったか?と言われればそうでもない。クールなダニエル・クレイグはかっこいい。「007」では派手な武器をなかなか使わせてもらえてない分だけ(?)、この映画の銃撃戦はド派手。ハリソン・フォードの演技は、バカ親振りや元軍人の頑固さ、人種を超えた心の交流などこの映画に血を通わせている部分をより深みあるものにしている。やっぱりハリソン・フォードには帽子がよく似合う。そう言えば「アメリカン・グラフィティ」の端役のときもカウボーイハットだったよな。脇役に芸達者なサム・ロックウェルや、西部劇に数多く出演した父親をもつキース・キャラダインを配しているのもいいね。
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