やまだ

銀河鉄道の夜のやまだのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)
3.4
原作は読んだことがなかったけど、詩的で科学的で独特の間合いが夢みたいな作品だった。

少年たちの沈黙は空想に満ちていて、鉄道が銀河を滑る音だけが、確かに自分たちの存在や居場所を教えてくれるような感覚。

うだつのあがらない日常からの解放でもたらされる高揚の刹那と、未知の銀河を行く長い旅の中で燻り続ける不安とを、鑑賞してるこちらも共有して、一緒に旅してるみたいだった。

ジョバンニが働く活版印刷所のシーンがなぜか強く印象に残っていて、こちらの都合などお構いなしに回り続ける活版印刷機の回転音が無機質で無情に思える反面、つまらなくともどこか安心できるような、現世での居場所のような、日常の象徴のようでもあり、今でもふとした時に思い出す。

脚本は別役実。
数年前、本作を映画館のスクリーンでみる希少な機会に恵まれました。
35mm上映@塚口さんさんシアター
やまだ

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