ちょろもち

銀河鉄道の夜のちょろもちのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)
4.5
宮沢賢治がねぇ、好きなんですよね。
そんなわけで小さい頃に見たこの映画のおかげか大学の卒論も宮沢賢治作品でした。
ストーリーに怖いところはないのに作品には終始不穏な雰囲気がある。子供心に怖かったが、それ故に傷のように残りつづけている作品。小さい子は怖がるかもしれない。
不穏さは昔のセル画ならではの滲みや彩度の低さ故か音楽故か。
しかし美術はすごく可愛いし味わい深い。町の広場の色とりどりのタイルや、牧場へ続く道の絵本のようなキュビズム表現。
またキャラのアクション表現も良かった。物語の序盤でジョバンニが泣くシーンがあるが、直接涙を見せるのではなくジョバンニが見ている景色をぼやかすことでそれを表現している。彼の繊細で涙を見せずにいようとする強さ、涙を描くことなく表しきったこの表現は何度見ても感動してしまう。イジメっ子や大人には、泣いてるの見られたくないよね。
好きなところを書くとキリがないが、子どもがこわがらないよう気をつけつつ、それでも子どもに見てほしいなと思う映画。
いや大人もみんな見てほしい。ぜひとも。