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めがねのtsuのネタバレレビュー・内容・結末

めがね(2007年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

3月から5月という春から梅雨に入る前までに観て欲しい映画です。

正直に言うと、初めの方の気分は砂漠の中に放り込まれたような窮屈さなのか...なんか、この映画やばいなと感じました。
(最終的にこの作品もまた例によってペンションメッツァやかもめ食堂にならびなんか癖になる感じなのですが。)

これまた登場人物全員の出自もほぼわからないまま、皆んな何者かである事への疲れと諦念を持った人たちがこの島に来たり、住んだり。
そこでは、春にしか来ないさくらさん(もたいまさこさんの役)の超越的な人柄に救われ、自転車の後ろに乗せられ、(それはもうとてつもなく美味しいのだろう)かき氷を作ってくれる。そして体操。

この作品『めがね』は死の匂いが背後で仄かに香る気がします。
さくらさんと言う人物像が、すぐにでも死に向かえてしまうような人達の足を、緩やかに引き留めてる感じがしました。
さくらさん(もたいさん)が春にしか来ないのは、名前の通りですけども、雨が降り梅雨に入ったと思えば季節のようにスッといなくなる。この春にかけてしか登場しないさくらさんは、人々の状況変化が一番著しい季節である春に一体何をしに来ているのでしょうか?それを考えるとなんか自分も泣きそうになります。

簡単に言ってしまえば、この島やさくらさんと言う存在などに「救われている」と感じる一方で、まだ生きなければいけないというどうしようもないダルさを後に感じる。
しかし1度死んだら2度は死なないという発言からも、「一度きりの命だよ」と綺麗事言われているというのではなく、死というものの後にあるものが「なにもなさ」「0」であるのだろうかという事を突きつけられていく。だからそれ以上何もそのことについて考える必要性もない。
そう、考える必要がない。
この島の人達はなんだか何処かぼんやりしてて、考えるのやめた人達の集まりのようにも見えました。だから怖かった。
途中でドイツ語?かなにかはわからなかったのですが、異国の詩が挟まれるシーンは日本人の大半がわからないだろうというのを見越しての異国の詩なのか、鑑賞者に考えるのをやめさせられる。

ゼロになるとはどのような感じか。この作品、自分のこれからに必要な何かがある気がしました。

しかしなぜかき氷なのか...なぜメガネなのか...まだ謎作品だけど凄く考え甲斐のある作品です。
今の自分なら、島に迷わずに来れる自信がありますね。
DVDあれば是非買いたいです。
2007年の作品らしいです。
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