このレビューはネタバレを含みます
こういう、「オールスターキャスト」「パニックアクション映画」って、初めてじゃないかしら。
(あ、ポセイドン・アドベンチャーが先かしら?)
ハリウッドが当時のブロックバスター製造機の頂点にいた3人全員を器用して臨んだ新しいジャンルは、セットも衣装も出演者も豪華そのもの。
こんな古き良き時代のスケールの大きい映画を、映画館のどでかいスクリーンでゆったりと観れたのは、今思えばラッキーとしか言いようがないわ。
映画が始まってから30分以上も、その輝かしい世界をとってつけたような安いドラマまで引き出して紹介していく。なんとも贅沢な時代よね。
有名スターには、死際も生死を賭けた決断の時も、常に完璧なシーンで演出。フェイ・ダナウェイのカーテンのようにたなびくドレスは、床の下で燃え盛る炎が今にも燃え移りそうなくらいしなやか。柱にロープで縛りつけられたスティーブ・マックイーンの鍛え上げた肉体は、屋上のタンクが爆発した大量の放水でずぶ濡れになって筋肉が浮き上がり、エロさたっぷり。
ジェニファー・ジョーンズは白いドレスでやられる感満載。ツイン・ピークスのローラ・パーマーまでは、世界一美しくドラマチックな死に方だったわ。
ウイリアム・ホールデンは黙っていても金と権力を兼ね備えた存在感は見事。映画が斜陽になり、自分の沈みゆくキャリアを、自分のビルの炎上の責任とハナクソみたいな息子のぶざまな死に、そっと哀愁を漂わせた演技はさすが。あんなに水をぶっかけられてもしぶとく生き残るのは、ハリウッドの定番ね。
それ以外の有名じゃない人たちの処遇は悲惨そのもの。ハリウッドって、有名じゃないとカッコ悪さを受け入れなきゃいけない国ね。
なんでも新しいことをやるには、誰をも惹きつけるパワーとエロさが必要なのかも。