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母の旅路のlemmonのレビュー・感想・評価

母の旅路(1965年製作の映画)
4.2
クラシック女優たちは、ある時期からその武器がなくなる。若くして去っていったものもいるが、ラナターナーは残り戦った。もうそれだけで十分。

昼ドラマのようにいろいろ削ぎ落として、メインストーリーをグイグイ押し進む様も、この映画には合っていて、細かい描写を気にさせない力があった。それはやはりターナーの存在感で、冒頭から力強いメイク、衣装、でかい目に不自然な突き出た胸と、少々大袈裟な演技とが、脇目も降らず押し迫ってくるようで、圧巻でした。もうホラーです。

それからのそんな馬鹿な的なドラマチックな展開にも、負けなかったのはターナー。ラストまでの涙をも自然とではなく吸い出されたかのような無理やりな感傷シーンでさえ、真面目に取り組む姿に感動してしまった。

ある種、映画ってこうあっていいものだと感じる。これが65年の作品。感慨深い。叶うなら邦題を「マダムX」として欲しい。
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