こんなにも、「もしも」を望み願ってしまった作品はほかになかった。
もしも、あの村にちゃんとした医者がいれば・・・
もしも、伊野さんが嘘をつかなければ・・・
もしも、村のみんなが嘘を許容しなければ・・・
たった1つの嘘。その嘘をみんな分かっている。
その嘘が「本当だったらいいのに」という願う気持ちで、あの世界は成り立っているのだ。
嘘は、その結果次第で大きな罪になっていく。
でもそれを許した人達がいたら、それは罪になるのだろうか。
誰も幸せにならない現実と、小さな嘘でも幸せになる空想なら、どちらを信じたくなるだろうか。
私だったらその嘘を信じてしまうかもしれない。