ディア・ドクターの作品情報・感想・評価

「ディア・ドクター」に投稿された感想・評価

kahooo

kahoooの感想・評価

3.2
とりあえず、のんびりとした田舎町の映像に癒された。
初めは悪意もあったかもしれないけど、あの村に必要とされてる先生は、もはやどんな形であろうと先生だったし、引くに引けない状況だったのだろう…

先生の心の葛藤が苦しかった
にく

にくの感想・評価

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『ディア・ドクター』。東スポ映画大賞監督賞受賞を機に見る。山村の自然のみならず、仏壇、鏡台、玄関といった日常的に人々を包み込む家屋内部の様子までが簡潔に捉えられ、配置されている。終盤、母娘の孤独な背中が2つ、慎ましげに並べられるのを縁側から寝室に見遣る時、我々は落涙を禁じえまい。
そういえば、本作を見ながら、フレイザーの『金枝篇』、「王殺し」の神話を思い浮かべた人は多いんだろうなぁ。しかし王様(鶴瓶)は、王妃(八千草薫)と王女(井川遼)の計らいで、命からがら、村からの脱出に成功するのでありました。めでたしめでたし。
KnI

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4.0
「その嘘は、罪ですか。」

秀逸なキャッチコピー。
医療に携わる人間の根底にあるのは、
利用者のQuality of Life(QOL)の向上
だと、思う。
しかし、(自分の勤める)回復期病院は医療費削減のため早期退院、紙面上のFIM(日常生活動作の指標)の点数改善を意識し過ぎるところがあるように思える。経営的には大事なのだろうけど。しかし、歩行でも3動作なのか2動作なのかで患者様側としては同じ「歩く」でも全く違うのは想像に容易い。
そして、人間の身体と感情は密接に関わっており、大脳皮質のバイアス(思い込み)の影響を度々見る。リハビリで例えれば、セラピスト的にはあまり手応えがなくても、患者的には素晴らしく改善したように思えたり、その逆も然り。
無医村を舞台に、QOLを考えた医療について再考し、今まで味ってこなかった感覚を得られる作品でした。

全てを観た上で、最後にもう一度この言葉を噛み締めて欲しい。
「その嘘は、罪ですか。」
maco

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何度観てもなぜだか号泣してしまうのだけれど、理由を上手く説明できない。西川美和さんの映画が好きだと確信した記念の映画でもある。鶴瓶さんは本当にはまり役で、かなりダメで、ぜんぜんヒーローじゃなくて、でも村人に引きずられるようにいい町医者を続けてしまう、という空気感がよく理解できる。八千草さんも、これは八千草さんにしか出せないんじゃないかと思う雰囲気で、真実を知っても医者を変にかばわず、2人の約束を守る。おそらく何か察していただろう余貴美子や、研修医の瑛太も、褒めだしたらきりがない。
TonyYamada

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4.0
西川監督が、メンタルを崩しかけた際に診察を受けた医師との対話を通して感じた違和感や、過去に医師免許を持たないまま医療行為を行い逮捕されたニセ医師事件がアイデアの元となって生まれた作品とのことだが、とてもとても見応えがあった。

鶴瓶さん演じるニセ医師は、さすが落語家なだけあって芸達者で、見ているものを引き込む。ご自身の温かい人間性も大いに貢献してるのでしょうね。

あと、地元の人々から敬愛される鶴瓶さん演じる医師の影響を受け、成長していく若手医師を演じた瑛太さん、ベテラン看護婦役の余貴美子さんなど、脇を固める役者陣がまた素晴らしかった。ぜひ見て欲しい1本。

一方で、邦画によくありがちな役者の声がくぐもっていて、よく聞こえない問題を本作でも感じた。洋画では感じることがないのだけど、録音機材や技術レベルの問題なのだろうか。気になる。
KR

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3.5
意外なスタート。『ディア・ドクター』なのにその医師がいない。どこへ消えたのか、何かの事件に巻き込まれたのか、一切不明。あぜ道で白衣だけが見つかった。村は大騒ぎ。

そして話は、この医師・伊能が働く村へ新米研修医師がやってきた頃へとさかのぼる。
瑛太のチャラい演技が上手い。このシーンだけでどういう気持ちでここへ来たのか、これから先起こるであろうたくさんのトラブルが予想できる。
始めこそてんてこ舞いだが、扱いやすい部下としてむしろ便利な存在。
根はピュアで、伊能を尊敬するようになっていく。

最初に登場した受診患者が驚きだった。そんじゃそこらのへき地ではないと分かる。
そして次に往診に行ったのに先は一気に重い現状を示す。
と思ったらおもしろ展開。そして真っ赤なコンバーチブルで帰っていく。面白い。非常にアイロニカル。
ユーモアとシリアス、大騒ぎと沈黙が交互に登場し、対比的。

医学とか縦割りの軋轢についてというよりは、純粋な人間ドラマ。特に村には高齢者が多いので、様々な人生の終え方について考えさせられる。

患者それぞれには難しい問題があり、この医師はついつい彼らの事情に立ち入ってしまう。
医者は呼びながらも、実は治療を望んでいない親族や本人など、ただの治療では済まない複雑な現状がある。
治したい医者と治りたい患者という単純な構図ではない。

冒頭で示された行方不明の捜査の件も時々挟まれる。
こんな人間味あふれる医師に一体何が起こったのかとますます気になってくる。

徐々に、この医師に不審な点が表れてくる。経歴も風変わりだし、彼の母親の態度も妙。
ある時の看護師の態度で、その秘密が何か観客には一目瞭然となる。

そんな伊能でも、この村には必要不可欠で神仏のごとく尊敬されていた。医師に必要とされるのは何か。知識や腕よりも、この村で本当に必要とされているものは。人に本当に必要なものとは。

伊能は意に反していつの間にか患者の人生に立ち入り過ぎていた。それは自らを追い詰めるはめになった。都会のバリキャリ女医と所見を交えるなど、冷や汗ものだっただろう。それ自体は何とか乗り切った。そのまま元の生活を続けることは可能だった。
しかしせっかく危機を脱したその時、彼の中で限界に達した。もうこれ以上嘘はつけなかった。自分の立場を捨てることになっても。いや、本当はずっと前から捨てたかったのかも知れない。

確かに元は伊能が悪い。しかし周りの人も、伊能の話を聞かず聞いてもらうばかりだった。むしろ都合の良いように伊能を動かしていた面もある。
高齢者の多いこの村では、伊能のような人こそ求められていた。

ラストはとても良かった。あっさりとしていて、皆まで説明しない。後は皆さんで考えて下さい、というスタイル。とても好み。

作品を通して、人生の終え方について少し考えが変わった。これまでは老衰で死ぬのが人間の理想としか思っていなかったが、それが叶わない場合は何が何でも病気を治さなくとも、ただ柔らかに受け止める選択もあっていいと思う。
病気は治療するのが当然、治せないのは不幸、可哀想なこと、とは一概に言い切れないことに気付いた。
私なら最期は、1年の余命を2年に延ばしてくれる治療よりも、話を聞いてくれる伊能のような男と出会いたい。

伊能と鳥飼夫人がテレビを観て雑談するシーンが、あまりにも自然で本当にどこかの家庭を覗いているかのようで感動するほどだった。

救急病院の医師役・中村勘三郎のセリフが見事。立て板に水のごとく口上を述べる。

自然が素晴らしい。壮大で、田んぼも山も一面の緑。ここで映画を作ったらどんな物でもそれなりになりそうだ。常陸太田市、いつか行ってみたい。

原作小説も気になる。
鶴瓶さん演じる村でただ一人の医師伊野が失踪してしまうところから始まる。村人たちの絶大な信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知る者は誰一人いなかった。事件前、伊野は一人暮らしの女性、かづ子(八千草薫)を診療していた。かづ子は次第に伊野に心を開き始めていたが、そんな時に失踪事件が起きてしまうのであった。

鶴瓶さんの演技が普段のやさしい感じもあれば、少し怖い表情で緊迫感のあるときもあってすごかった。

法には反してて重大な問題ではあるけど、だからと言って決して伊野を責めることもできないという複雑な感情になった。
おおよそ同じ国の事とは思えないお伽噺みたいな内容なので、それを成り立たせているのは沢山の実力派揃いの役者陣と何よりも笑福亭鶴瓶の人柄による所が大きい。
ただ村ぐるみの隠蔽が、悪意ではなく善意に向けられているのはあまり見ないタイプだと思った。悪い人が一人も出てこない居心地の悪さ。
研修医として村にやって来るいわば外部の立場である瑛太の変化が縦軸。
安藤玉恵はお産姿がよく似合う。
映像役者の中村勘三郎やっぱいいわあ。
八千草薫の細かい仕草ひとつが胸にしみる。
10年前は駅のホームでタバコ吸えたなー。

個人的にどんなに評判がよくても、邦画で二時間を越える作品には手を出しづらい。
Akan

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3.9
2回目の鑑賞。

免許持ってても頼りにならないお医者さんなんて結構いる。
(お医者さんすんません。笑)

話を聞いてもらうだけでも楽になるし、そんな存在があるだけで安心する。

いろんな心情があるし
確かに違法だけど
先生は先生だったんだなぁー

最後の最後はちょっと怖かったけど、八千草さん笑ってたからいっかーー( ˙o˙ )

おしまい◟̊◞̊
霖雨

霖雨の感想・評価

3.8
僻地医療

ふわっと、というかあるがままにというか、そんな終わり方

嘘が何かについては粗筋を読んだ段階でわかったけど、描き方、配役が良いし、どう受け止めるかだと思うのでネタバレという感じはない。

キャッチコピー「その嘘は、罪ですか。」
罪と言っていいのは村の住民だけなのかなと思った。お互いを必要としあい、みんなが伊野を医師にした。

この監督の作品を他にも観てみたい。
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