ブラックユーモアホフマン

わらの犬のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.8
傑作。映画を観てこんなにはらわたが煮えくり返ったのは久しぶりだな。最悪。笑

ダスティン・ホフマンに感情移入しすぎて血圧上がった。前半の、言わなきゃいけないことが言えなくて言いくるめられちゃう情けない感じも、分かるのよ〜。分かる分かる。言えないよなぁ。情けないなぁって分かってんだけどさぁ。

限られたロケーション、キャラクターの中だけで、人間の生理が非常に上手く描かれていて、寓話的な感もある。

人と人とのディスコミュニケーション。ダスティン・ホフマンもちょっと変な人だし、村の奴らは最悪なバカだし、同じ言語でしゃべってるはずなのに話が通じてない。そこから暴力が発生する。そうなってしまったら、あんなに暴力を嫌っていたダスティン・ホフマンも暴力でやり返すしかない。悲劇。戦争だって、この規模をもっとデカくしただけの話なんじゃないのか。
どうにか、違いを認め合って傷つけ合うことなく平和に共存していけないもんかねぇ、と思うけど、悲しいかななかなかそうもいかないのがこの世の中だよねぇ、という残酷な現実を突きつけてくる。

また、レイプの描き方が素晴らしいと思った。自分はレイプについて直接知ってるわけじゃないけど、かなり誠実な描かれ方なんじゃないかと思った。レイプというものについて、理解するのにもいい映画なんじゃないか。

ペキンパー印の、スローモーションと、モンタージュ的な細かいカッティングも、これまた上手くて、素晴らしかったなぁ。胸糞は悪いけど……笑