ダルマパワー

APPLESEED アップルシードのダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

APPLESEED アップルシード(2004年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭は固有名詞と専門用語、比喩のオンパレードで、作りたい世界観は伝わってはくるものの中身の理解には至らず、見ていて居心地悪いシーンが続いた。コアファン狙いな印象もうけ、このあたりは見る人によって感覚が異なるのかなと思った。

デュナンの回想シーンはいまいち現在の絵と違いがわかりづらかった。総じて、あまり観ている人に優しい映画ではなかった印象。

そうした反面、荒廃した街並みや、モーキャプを使った戦闘シーンは見応えがあり、当時まだ2004年という中で、3DCGの飛躍を感じた。特にこうした世紀末的で、戦闘シーンが多い内容に、この作風はピシャリとマッチしていた。戦闘シーンでのロックの挿入歌(DIVE FOR YOU / BOOM BOOM SATELLITES)は最高の掛け算だった。荒巻監督のメカや背景、世界観へのこだわりは非常に観ていて惹かれるものがある。

人間、サイボーグ、バイオロイドという異なる3つの生体が登場したが、いずれにおいても、愛があり、愛を通じて、慈しみあう事ができていた。見た目や生まれがことなっても、共存していけると、もしかしたら近未来に訪れるかもしれない光景を、ポジティブに受け止められそうな、そんなメッセージを受け取った。

一方で、老人達が人間に失望し、絶滅させようとする姿は、とても寂しく見え、彼らの憂いを感じた。生きていると人の嫌な面に多く触れる。彼らは多分、それに疲れてしまったのかなと、同情の念が湧き、胸をうった。

それにしても生殖機能を絶つことによる人の安楽死、という発想はとても斬新だった。人への愛と絶望が共存する、老人達の心情をまさに描いた演出だった。

画としては、セルルックの陰影がややきつめで、余計な印象やノイズを映像に生んでしまっていたようには感じた。このあたりはまだCGとして仕上がっていない部分だったのかなと時代を感じる部分でもあった。

良策でした。
ダルマパワー

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